第五十八番札所 無一山 専求院(せんぐいん)

◎御詠歌

  よろず世の 願をここに おさめおく 無一山の 専求院

  よろずよの ねがひをここに おさめおく むいちざんの せんぐいん


【宗派】 浄土宗
【御本尊】 阿弥陀如来
【真言】 おん あみりた ていせい から うん


【略縁起】
隣接する誓願寺の末寺で、文禄年中(一五九二~九五 )念無和尚の創建と伝えられておりますが、寛永元年 (一六二四)とも伝えられております。 又、八十三番札所の柏村の長福寺の開基念無ともい われております。 堂内には閻魔様と脱衣婆の木像が安置されておりますが、俗に「塩辛ばさま」と呼ばれて昔は怖がられたということです。この木像は、近所で織物業をいとなんでいた福島文吉という人が明治二十年(一八八七)に寄進したものということです。


【電話】 0172-32-7777
【アクセス】 〒036-8364 青森県弘前市新町249
【御住職】 第四十五世 村井龍大和尚
【公式HP】 https://www.senguin.net/
【Facebook】 https://www.facebook.com/senguin/
【Instagram】 https://www.instagram.com/senguin01/
【Twitter】 https://twitter.com/SenguinJoudoshu
【納経料金】
・納経帳    ¥300(墨書きなしの場合も同料金。見開き御朱印は¥500) 

・笈摺(白衣) ¥200 
・納経軸    ¥500(墨書きなしの場合も同料金) 
【推進会加盟】 令和四年十月二十三日加盟 
【田中チヨ尼奉納御砂】 御本尊様と共に安置されている。

◎現代の「かけこみ寺」専求院様との想い出

今からもう十年程遡る。2014年。当時私はまだ二十代半ばであった。津軽三十三観音霊場を始めて巡っている際に「津軽八十八ヶ所霊場」の存在を知り、興味を抱いた私はすぐに巡礼を始めた。ネットには津軽八十八ヶ所霊場の情報は一切なく、第一番札所である専念寺様を訪れた際に、絶版となっている古いガイドブックをいただいた。それを見ながら札所を巡りをはじめた。津軽八十八ヶ所霊場は年に数人しか巡礼しにこないと専念寺様にいわれていた私は、なにやら闇の中に足を踏み出すような、そんな心持ちで不安で一杯であったことを記憶している。しかしその不安は現実のものでとなっていく。津軽八十八ヶ所霊場は多くの札所が浄土宗か曹洞宗が占めていた。小さい寺院様が多く、「巡礼で参りました」と門を叩くと多くの札所で怪訝な面持ちで対応されたのを覚えている。法要中で対応できないといわれた札所も数えきれない。精神的にも負担が増し、巡礼で札所を訪れるすること自体がお寺様にとっては面倒なことなのではないかという思いに駆られ、札所を巡るのが段々と憂鬱になっていった。そんなときに訪れた札所が専求院様であった。御住職の母親であろうか、年配のはつらつとした御婦人が暖かく迎えてくれた。お勤めをし御朱印をいただいたあとに色々と私の話を聞いてくださった。「お参りにきた人をきちんと迎え入れないお寺がそもそもなってないんだからあなたは悪くないんだよ。頑張ってまわり終ったらまた来なさい」と、そう言ってくださった。とても勇気をいただいた。そして津軽八十八ヶ所霊場を開いた田中千代尼僧様が各札所に納めた四国霊場の御砂が入った木箱を見せていただいた。初めてその木箱を見た時の感動は今でも鮮明に私の心に刻まれている。そんな御婦人の声援のおかげで残りの札所を全て巡礼し結願することができた。お礼参りにもう一度専求院様を訪れ御婦人と再会すると「よかったね」静かに微笑んでくださった。胸の中になんだか家に帰ってきた時のような安心感が込み上げてくるのを感じた。また色々と言葉を交わしたあと、「今度うちのお寺でジャズのコンサートをやるから見においで」と誘われた。後日コンサートを見に伺った。楽器が奏でる演奏を聴きながら「これは結願したご褒美を仏様がくれたのかな」と心の中で静かに思った。そして私と同じように津軽八十八ヶ所霊場を巡礼したい方の助けになりたいと思い立ち、当会を立ち上げる機会ともなった。専求院様がなかったら今の活動もなかったであろう。大きな闇の中で光を見出してくれた私にとっては文字通りの「かけこみ寺」であった。専求院様には今でも多くの方が様々な悩みをもって相談に訪れる方が後を絶たないという。

令和四年十月二十四日 会長 鬼隠山海龍

津軽八十八ヶ所霊場推進会

人に触れる 歴史に触れる 根源に触れる 津軽のこころの故郷を巡る旅